マンガ「もやしもん」でオクトーバーフェストがクライマックスの舞台として登場。単行本も出て（第８巻）、今まで知らなかった人にオクトーバーフェストを知らしめる事になりました。 また、ビールの多様性を軸にストーリーが展開しており、ビールの入門書としてもよく出来ているため、今までビールに興味がなかった若い世代に「にわかビールマニア」を大量発生させる結果となり、そのインパクトの強さを見せつけました。
　オクトーバーフェストの認知度を上げ、その名前を新しい層に広げたその功績は高く評価出来ると思います。

　ただ、（作品自体が発酵＝醸造がテーマなのでやむを得ない部分もあるのですが、）ビアソングの演奏などの描写が無く、オクトーバーフェストを単にビールの飲み比べのイベント（いわゆるビアフェスト）とも受け取れるような描かれ方をしているため、「オクトーバーフェスト」＝「特殊なビールを飲み比べるイベント」というイメージが固定化してしまうのではないか？というのが気がかりな所です（※蛇足で言えば、本場のオクトーバーフェストでは入ったテントでは、そのテントのメーカーのビールしか飲めないので、テントを変えない限り飲み比べはあり得ない。）。

（一部のブログなどを読むと、オクトーバーフェスト＝コスプレイベントという勘違いもおこっているようです。）

　全くビアソングの演奏が無い会場で、ひたすらビールを飲むだけのイベントだったとしたら、はたして「みんな笑顔」になっていただろうか？ビアソングの演奏があってはじめて「本物のオクトーバーフェスト」足りえるように思うのですが・・・

　好調らしく、新たに「芝公園」など新会場での開催も含め、回数が増えています。

　しかし、「公式」を名乗っているため、自社開催でない、国内最大規模で知名度も高いはずの「横浜のオクトーバーフェスト」が「公式」で無くなるなど、利用者からすると混乱する展開が続いています。

　地方で行われているオクトーバーフェストは、ドイツビールやビアソングを中心としつつも、地元特産品のアピールや、地元バンド・音楽グループの発表の場といった側面の活用も増えて来ており、「オクトーバーフェスト」という名称を、別の名称に変えて開催するところが出るなど、多様化が進んでいます。

　現在のところ「アインプロジット」を会場盛り上げの主軸にしているところが多いようですが、今後そのバランスが微妙に変化して独自の進化を遂げて行くのかもしれません。
（当サイトでは「アインプロジット」の演奏が無いイベントは 例外を除き 紹介していません。）

　名古屋でもドイツ料理店「ゲンゲンバッハ」が、ヨーデル北川桜さんを演奏に迎えての初めての「オクトーバーフェスト」を開催しました。
しかし、予約が予定数に達しなかったため、当初２回だった開催予定を１回に縮小しての開催となってしまいました。

　ホフブロイハウスのフェストビアなど複数のドイツの樽生ビールが飲み放題で、料理も充実、間近でのステージが楽しめ、アルプホルンの演奏に参加する事まで出来る、すばらしいイベントであったにも関わらず、多くのお客さんに参加してもらえなかったのは、本当に残念でした。

　愛知・犬山の民族テーマパーク「リトルワールド」でも、ドイツからの演奏チームが来て間近に演奏が楽しめるのに、会場は冷めたまま。いわゆる「オクトーバーフェストノリ」にはならず。（あるブログでは「けんかのプラットラー」を「コント」と表現していた・・・。）
もちろん、家族連れが多いテーマパークでの演奏なので、本家のノリは望むべくもないですが、ここだけを見ると、名古屋のオクトーバーフェスト系の文化に暗い物を感じてしまいます。

　しかし毎年「スーパードライ名古屋」で行われているオクトーバーフェストでは、大阪かそれ以上の盛り上がりを見せており、チケットも毎年早期に売り切れている事を考えると、全くそういったノリが無い、といった事もないと思われ、今後、マスコミを巻き込んだ「情報発信」や「告知」などに検討の余地があるかもしれません。

　名古屋では他にもレストラン「ツァ・ディーレ」で、リトルワールドの演奏チームを招いてのオクトーバーフェストが開催されたようですが、こちらは参加していないので詳しくは分かりません。http://www.zurdeele.co.jp/blog.php?itemid=124

　個人的にはこの４店（正確には３店と１施設）で連携を組んで、「オクトーバーフェスト情報発信」の仕組み（共通のチラシ・ガイド作成、全体でイベント化してマスコミ連動、等）を作っていただけたら、と希望を持っています。

　２０１０年は本場ミュンヘンのオクトーバーフェストが２００周年という事もあり、マスコミに紹介される機会も多い年でした。

　全国的に全てのオクトーバーフェストの参加者や開催日数は増加傾向にあり、クチコミ効果で人が人を呼ぶ現状が続けば、この傾向はさらに続いて行くと思われます。
もし、今後「もやしもん」のアニメやドラマで、もしオクトーバーフェストが描かれる事があれば、認知度が上がり、さらに参加者が増えて行くのはまず間違いは無いと思われます。

　ただ、会場によっては、オクトーバーフェストのノリ方を知らない若い世代の暴走で会場が荒れる傾向（音楽に関係なくただ騒ぐだけなど）があり、また、それを制御するすべをしらないMC（司会）がさらにそれを煽るといった場面も見られ、このままでは「危険なイベント」とのレッテルを貼られかねないと危惧しています。
　事故が起こる前に、ヒートアップした会場をクールダウンするすべを、歴史の浅い会場ではぜひ身につけていただきたい、と切に願います。